<風疹とは>
風疹ウイルス感染によって生じる発疹性疾患。空気(飛沫)感染し潜伏期は2〜3週。
<症状>
発熱はないか、あっても軽度。発疹出現2〜3日前に耳介後部、頸部などに軽い痛みを伴ったリンパ節腫脹が出現しますが、小児では発熱、リンパ節腫脹に気付かれないことも多く、発疹で発病する場合もよくあります。発疹は3〜4mmの淡紅色の斑点で麻疹と違い癒合傾向を示しません。発疹は顔面から体幹、四肢に拡がり3〜4日で消褪します。その他、眼球結膜、咽頭粘膜の発赤、肝脾の腫大、関節痛を伴うこともあります。
<合併症>
脳炎:3000〜6000例に1人の割合で出現。後遺症を残すことは少ないが、重症で呼吸停止を起こすことがあり、要注意です。
血小板減少性紫斑病:3000例に1例程度の頻度。一過性で予後は良好。風疹ウイルスは血小板減少症を起こすウイルスとしては比較的多く重要です。
関節炎:関節痛は症状としては高頻度。程度は軽いものが多く、1週間以内に軽快。時に膝、肘関節の腫脹、発赤をみます。
先天性風疹症候群:風疹の合併症としては最も重要。妊娠初期の風疹罹患によります。妊娠2ヶ月以内では白内障、心奇形、難聴などを起こします。妊娠3ヶ月以降の感染では奇形は少なくなりますが、難聴、成長後の学習障害などを引き起こします。
<治療>
風疹に特異的治療はありません。ほとんどが軽症に経過し、自然治癒するため痛みや熱に対する対症療法が主となります。先天性風疹症候群の予防が最重要課題であり、そのためには予防接種を受けることが最も大切です。現在、妊娠可能年齢に達した女性の風疹予防接種率の低下が叫ばれており、近い将来、先天性風疹症候群が多発することが危惧されています。